今朝の沼ニュース 2025-12-05
環境問題は科学だけで語り尽くせるのか?
そんな問いに正面から挑んでいるのが、UCサンタクルーズ(UCSC)の人文学部です。自然を「背景」「資源」「対象」として扱う従来の見方から離れ、“命が絡み合うウェブ”として捉え直す取り組みが進んでいます。アート、文学、倫理、文化……多様な視点が環境危機の思考を更新する、その最前線をのぞいてみましょう。
◆ 人文学が環境問題を変える理由
環境問題といえば、どうしても科学的データや技術的解決策に目が向きがちです。しかしUCSCの人文学部では、「自然と人間の関係そのものを問い直す」ことこそが、危機の本質を見つめる手がかりになると考えています。
自然をただの資源や背景として扱う現代社会の前提をひっくり返し、文化・言語・制度を含めた広い視野から、私たちがどんな態度で自然と向き合ってきたかを振り返る。こうした“深い問い”が、科学だけでは見落としがちな視点を浮かび上がらせます。
◆ アートが描く「気候転換点」への警鐘
UCSCの研究・教育は理論だけではありません。
たとえば、micha cárdenas氏による作品「The Probability Engine: Atlantic Overturning」は、気候システムが転換点を迎える可能性をアーティスティックに可視化する試みです。
アートは数字では伝わらない不安や切迫感、あるいは未来への想像力を刺激します。
“感じること”が、理解や行動の引き金になる。
環境問題を人間の経験として捉える力が、まさにここにあります。
◆ “問い直す場”としての環境人文学
環境人文学は今、こうした芸術・法・倫理・文化などを横断しながら、
「人間の振る舞いは環境に何をもたらしてきたのか」
「そもそも自然とどう関係するべきなのか」
といった本質的な問いを掘り起こす場として広がっています。
こうした視点は、政策や技術だけでは届かない“思想の転換”を促すかもしれません。環境危機を「人間の物語」として語り直すことで、未来への選択肢がより豊かになります。
◆ まとめ
UCサンタクルーズの取り組みは、環境問題を新しい角度から照らし出しています。科学的データは重要ですが、それだけでは十分ではありません。文化・倫理・アートを交えた人文学的アプローチが、自然との関係を編み直し、新たな環境観を育てる力になるのです。
ニュースソース:https://news.ucsc.edu/2025/11/humanistic-approaches-to-urgent-environmental-issues/
