今朝の沼ニュース 2025-12-18
1. 1970年以降で約4億1100万ヘクタールの湿地が消失
ラムサール条約事務局がまとめた最新報告 Global Wetland Outlook 2025 によると、世界の湿地の約22%(4億1100万ヘクタール以上)が1970年以降に失われました。これは毎年約0.52%のペースで減少している計算です。
さらに残っている湿地の25%が生態的に劣化しており、単に面積だけでなく質の低下も深刻な課題になっています。
2. 2050年までにさらに湿地の20%が消える可能性
報告ではこのまま消失ペースが続くと、2050年までに現在の残存湿地の約20%が追加で失われる可能性があると警告しています。湿地の面積減少は水循環や生物多様性、地域の暮らしに深刻な影響をもたらします。
3. 湿地が提供する価値は最大で約39兆ドル(約4300兆円)/年
世界中の湿地がもたらす天然の恩恵(浄水、洪水調整、炭素貯留、食料・水の供給など)の経済価値は、年間最大で約39兆ドルにのぼると試算されています。湿地が失われるとこれらの価値が大規模に失われてしまう恐れがあります。
4. 淡水湿地は「見過ごされがちな気候のヒーロー」
環境正義財団(EJF)の報告でも、淡水湿地は巨大な炭素貯蔵庫であり、気候変動対策として極めて重要であると指摘されています。たとえば、コンゴ盆地の泥炭地だけで約290億トンもの炭素を蓄えています。
しかし、開発や干ばつ、焼却などにより急激に破壊されつつあり、「湿地は森林より3倍の速さで消失している」という指摘もあります。
🆘 なぜ緊急性が高まっているのか?
- 湿地は水・食料・災害リスクの調整・炭素貯留など広範な便益を提供しているにもかかわらず、十分に保全・復元されていません。
- 失われると、生態系の機能喪失だけでなく、人間社会にも甚大な経済的損失や気候リスクの増大を招きます。
🧭 総括
ラムサール条約の報告と環境NGOの指摘は一致して、湿地保全・復元の必要性がかつてないほど高まっていることを示しています。私たちの暮らし、経済、そして気候安定のために、湿地の価値を正しく評価し、保護・回復へ向けた具体的な行動が求められています。
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