今朝の沼ニュース 2025-11-14
JADH 2025で公開された新しい研究支援AI
2025年9月20–21日に大阪大学箕面キャンパスで開催された日本デジタル・ヒューマニティーズ学会(JADH 2025)で、株式会社COTENが人文学研究向けAI「Leonardo」を公開しました。
人文学研究支援AI「Leonardo」、JADH 2025で発表—1,800冊横断検索と出典表示で研究効率化
このAIは、1,800冊超の人文学書籍をOCR処理し、ベクトルデータベース化したうえで、質問に対して該当文献の根拠箇所を直接表示できる仕組みを備えています。研究者がもっとも時間を費やす「文献探索」や「注の確認」を大幅に圧縮できる点が高く評価されました。
普段のリサーチで「このテーマ、どの文献に書いてあったっけ?」と迷う瞬間はありませんか? まさにその“迷い”を即解決するためのツールが登場したことになります。
1,800冊の知識をどう活かす?
Leonardoの魅力は、単に大量の図書を検索できるだけではありません。
- ページ単位で根拠が出る
- 複数文献の関連箇所を並べて検討できる
- 曖昧検索や概念ベースの探索が可能
こうした点は、文学研究、歴史研究、哲学、宗教研究など「概念が重層的に絡む」領域と相性が抜群です。
人文情報学の観点から「ベクトルDB×人文学」という流れが加速する予兆を強く感じます。
新しく生まれる研究・教育・展示の可能性
今回の発表を受けて、応用シナリオも一気に広がりそうです。例えば、こんな創造・研究アイデアが浮かんできます。
1. 大学院ワークショップの再設計
AIが提示する根拠文献をその場で読み込み、一次史料の読解とAIのソース検証を同時に行うカリキュラムを作れます。
「AIは便利。でも、どこまで信用すべき?」という問いを、受講生が能動的に扱えるようになるはずです。
2. 博物館の“対話型キャプション”
展示ケースの横でAIに自然文質問を投げかけると、出典付きで解説が返ってくる展示体験が可能になります。
「この土器って、どんな地域で使われてたの?」という来館者の素朴な疑問に、文献根拠とセットで返答できる未来が見えてきます。
3. 地域文化資源を横断検索する「ご当地DHポータル」
地域史の未刊行冊子や方言辞典など、手元にしかない資料を追加して地方の文化資源を検索・比較できる独自ポータルを構築するアイデアです。
研究者だけでなく行政・観光・教育の現場にも波及効果がありそうです。
今日のビジネス視点:API連携が鍵
ビジネスの観点では、API提供による出版社・図書館との連携が重要な道筋になります。
引用チェックの自動化、推薦文献の生成、研究プロセスの記録など、B2B向けにサブスク課金できる要素が揃っています。
現場では、どの工程がAPI化されれば一番助かりそうでしょうか? 研究の裏側にある“面倒だけど必要な作業”を可視化することで、AI活用の余地はさらに広がります。
