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  • 計算民族音楽学が面白くなる!伝統音楽とAIがつくる新しい音の地図

    12月 6th, 2025

    今朝の沼ニュース 2025-12-06

    世界中の伝統音楽を、 音響データそのものから分析する「計算民族音楽学(Computational Ethnomusicology)」 がいま静かに注目を集めています。録音データをそのまま数値化し、歴史や文化背景と結びつけて読み解く研究が進むことで、これまで言語化しづらかった“民族音楽の魅力”がデータとして可視化され始めています。今回は、この領域で最近話題となっているニュースと研究動向を、わかりやすく整理してご紹介します。


    1. 音源そのものを解析する時代へ:民族音楽研究が一歩前進

    近年、計算音楽学の分野では 歌詞や楽譜ではなく、音響そのものを直接分析するアプローチ が勢いを増しています。
    例えば、1950〜70年代のポピュラー音楽アーティストのキャリア変化を、実際の音源解析で追跡する研究が報告されました。こうした手法はそのまま民族音楽研究にも応用可能で、 リズム・微分音・即興性といった“楽譜で記述しにくい特徴”をデータとして扱える 点が大きな魅力です。

    民族音楽は口伝・即興が多く、録音データが研究の中心になることが少なくありません。音響分析技術の進展は、こうした特性を持つ伝統音楽の研究手法を根本から変えつつあります。


    2. ツールとデータ基盤の整備が進行中:分析しやすい環境が広がる

    計算音楽学ツールの利用状況を整理した調査論文では、 研究者が求める機能と現在のツールの間にギャップ があることが指摘されています。
    また、民族音楽学データを FAIR(検索可能・再利用可能)な形で整理しようとする動き が活発化しており、録音・演奏・文脈データをどう保存し、どう共有するかという議論が進んでいます。

    これらの研究基盤の整備は、民族音楽研究者にとって追い風です。
    「録音はあるけれど分析できない」
    そんな状態がゆっくりと解消され、誰もが大規模な比較研究や機械学習を用いた解析にアクセスしやすくなりつつあります。


    3. 世界の伝統音楽データセットが続々公開:分析の土台が広がる

    最近は、民族音楽を対象とした 高品質なオープンデータセット の公開が相次いでいます。

    • 1932年カイロ・アラブ音楽会議の録音データセット
       歴史的に重要なアラブ音楽の録音・メタデータをまとめた貴重な資料です。
    • IRMA Dataset(イラン古典音楽)
       ラディフの音響・MIDI・メタデータを含む構造的なコーパスで、機械学習研究でも活用可能な設計になっています。

    こうしたデータが公開されることで、 演奏スタイルの変遷分析、旋法(マカームなど)の特徴抽出、AIによる生成モデルの学習 など、多様な研究が一気に進む環境が整っています。


    まとめ:伝統音楽研究に“データの眼”が加わる時代へ

    計算民族音楽学は、文化背景を丁寧に読み解く民族音楽学の姿勢を残しつつ、そこに 音響データ分析・機械学習という新しい視点 を加える学問領域です。
    まだ課題は多いものの、ツール・データセット・研究基盤の整備が加速する今、 世界中の伝統音楽が新しいかたちで可視化され、比較され、保存される時代 が到来しつつあります。今後ますます面白い研究が生まれそうです。


    ニュースソース:

    • https://phys.org/news/2025-07-musicology-tracking-bands.html
    • https://arxiv.org/html/2507.15590v1
    • https://emusicology.org/article/ojs_id/7632/
    • https://arxiv.org/abs/2506.14503
    • https://arxiv.org/abs/2508.19876
  • 自然との関係を“編み直す”とき──UCサンタクルーズが示す環境人文学の最前線

    12月 5th, 2025

    今朝の沼ニュース 2025-12-05

    環境問題は科学だけで語り尽くせるのか?
    そんな問いに正面から挑んでいるのが、UCサンタクルーズ(UCSC)の人文学部です。自然を「背景」「資源」「対象」として扱う従来の見方から離れ、“命が絡み合うウェブ”として捉え直す取り組みが進んでいます。アート、文学、倫理、文化……多様な視点が環境危機の思考を更新する、その最前線をのぞいてみましょう。


    ◆ 人文学が環境問題を変える理由

    環境問題といえば、どうしても科学的データや技術的解決策に目が向きがちです。しかしUCSCの人文学部では、「自然と人間の関係そのものを問い直す」ことこそが、危機の本質を見つめる手がかりになると考えています。

    自然をただの資源や背景として扱う現代社会の前提をひっくり返し、文化・言語・制度を含めた広い視野から、私たちがどんな態度で自然と向き合ってきたかを振り返る。こうした“深い問い”が、科学だけでは見落としがちな視点を浮かび上がらせます。


    ◆ アートが描く「気候転換点」への警鐘

    UCSCの研究・教育は理論だけではありません。
    たとえば、micha cárdenas氏による作品「The Probability Engine: Atlantic Overturning」は、気候システムが転換点を迎える可能性をアーティスティックに可視化する試みです。

    アートは数字では伝わらない不安や切迫感、あるいは未来への想像力を刺激します。
    “感じること”が、理解や行動の引き金になる。
    環境問題を人間の経験として捉える力が、まさにここにあります。


    ◆ “問い直す場”としての環境人文学

    環境人文学は今、こうした芸術・法・倫理・文化などを横断しながら、
    「人間の振る舞いは環境に何をもたらしてきたのか」
    「そもそも自然とどう関係するべきなのか」
    といった本質的な問いを掘り起こす場として広がっています。

    こうした視点は、政策や技術だけでは届かない“思想の転換”を促すかもしれません。環境危機を「人間の物語」として語り直すことで、未来への選択肢がより豊かになります。


    ◆ まとめ

    UCサンタクルーズの取り組みは、環境問題を新しい角度から照らし出しています。科学的データは重要ですが、それだけでは十分ではありません。文化・倫理・アートを交えた人文学的アプローチが、自然との関係を編み直し、新たな環境観を育てる力になるのです。


    ニュースソース:https://news.ucsc.edu/2025/11/humanistic-approaches-to-urgent-environmental-issues/

  • 浮かぶ「人工湿地」が世界の水質を救う? コスト効率で注目集める自然ベース技術

    12月 4th, 2025

    今朝の沼ニュース 2025-12-04

    オーストラリアの研究機関CSIROを含む国際チームが、人工的に設置される「浮上湿地(Constructed Floating Wetlands:CFW)」の水質改善効果を検証したところ、規模を拡大するほど栄養塩の除去コストが下がるという興味深い結果が得られました。自然の浄化システムを人工的に再現するこの技術は、世界的な水質悪化への新たな解決策として注目を集めています。


    浮かぶ“人工湿地”とは?植物が根で水を浄化する仕組み

    CFWは、水面に浮かべた人工マットの上で植物を育て、その根が水中の窒素やリンなどの栄養塩を吸収して浄化する仕組みです。自然の湿地が持つ浄化能力を応用した「自然ベース解決策(Nature-based Solution)」のひとつで、川、湖、貯水池などさまざまな場所に設置できます。
    特に都市部の排水や農業由来の流入で栄養塩が増えると、水草の異常繁殖やアオコの発生といった問題が起きがちですが、CFWはそれらの抑制にも効果を発揮します。


    規模が大きいほどコストが低下──11か所の国際比較研究で判明

    CSIROらの研究チームが、世界11か所のCFWを比較したところ、規模が大きいほど「1kgの栄養塩を除去するためのコスト」が低くなるという明確な傾向が確認されました。
    これは、植物の成長量や設置面積の効率が大きく影響しており、運用コストに対してより多くの浄化効果が期待できるためです。結果として、CFWはこれまで以上に「費用対効果が高い水質改善技術」として国際的に評価を高めています。


    成功の鍵は“規模”と“気候”──暖かい地域が有利

    研究では、気候条件もコスト効率を左右する重要な因子であることが示されました。
    特に、暖かい地域では植物の成長シーズンが長く、年間を通して高い浄化能力を発揮できるため、除去コストがさらに下がる傾向があります。
    一方で寒冷地では、冬季に植物がほとんど成長しなくなるため、同じ面積でも効果が落ちる場合があります。
    このことから、CFWを実際に導入する際には、適切な規模設定と気候条件の見極めが成功の鍵といえます。


    まとめ

    人工浮上湿地(CFW)は、自然の力を活かしながら水質を改善できる次世代の環境技術として、世界的にも注目が高まっています。今回の研究により、特に「大規模化」と「暖かい気候」がコスト削減につながることが明らかになり、持続可能な水環境づくりの有力な選択肢となりつつあります。都市部の湖沼や農地排水など、さまざまな水質問題に対し、CFWがますます活躍する未来が期待されます。


    ニュースソース:https://www.theguardian.com/australia-news/2025/oct/19/australian-scientists-floating-wetlands-global-water-quality-savings

  • Internet Archiveがウェブページ1兆件を保存──“消えるネット”とどう向き合う?

    12月 3rd, 2025

    今朝の沼ニュース 2025-12-03

    インターネットの歴史を丸ごと保管する巨大プロジェクト「Internet Archive」のWayback Machineが、なんとウェブページ1兆件のアーカイブを達成しました。1日あたり150テラバイトものデータを飲み込み続けるこの仕組みは、なぜここまで必要とされるのでしょうか。節目のニュースから、デジタル時代の“記憶のあり方”を改めて見つめます。


    ■ 1兆ページ達成という、桁違いの節目

    アメリカ・サンフランシスコの教会に本拠地を構えるInternet Archive。その中核サービスであるWayback Machineは、過去のウェブページを誰でも遡って閲覧できる「時の図書館」です。
    2025年10月22日、ついに保存数が1兆ページに到達。これはインターネット誕生以来の膨大な記録が積み上がった証であり、デジタル文化史における大きな里程標です。

    毎日150テラバイト(=150,000ギガバイト)が追加されるペースは、単体の企業や研究機関では追いつけない規模。世界のウェブの“消失リスク”を背景に、その役割はますます重くなっています。


    ■ 情報が「すぐ消える」時代だからこそ価値がある

    SNS投稿が瞬時に消され、サイトが数日で閉鎖され、ニュース記事が書き換えられる。いま私たちが接するウェブは、驚くほど変化しやすく、消えやすい媒体です。
    だからこそ、Wayback Machineは「失われたかもしれない情報への保険」として機能しています。

    • 公共の議論の透明性を保つ
    • 研究者が過去の情報環境を再現できる
    • 企業・政府の発信履歴を確認できる
    • ウェブ文化そのものを歴史的資源として守る

    これらは図書館や博物館が果たしてきた役割に近く、ウェブ時代の新しい公共インフラといっても過言ではありません。


    ■ 膨張するアーカイブの裏側にある課題

    しかし、1兆ページアーカイブという偉業の裏には、いくつもの難題が横たわっています。

    • 法的ハードル:著作権や削除依頼とのバランス
    • 技術的制約:ストレージ・運用コストの増大
    • 検索性の問題:膨大すぎて目的のページに辿り着けない
    • 持続可能性:非営利で続けるための資金確保

    特に、データ量の増大と長期保存のコストは年々圧迫を増しています。アーカイブの重要性が高まる一方、その維持には社会全体で支える仕組みが求められています。


    まとめ

    Wayback Machineの1兆ページ到達は、単なる数字の記録以上に、「私たちは何を未来に残すのか」という問いを投げかけています。
    デジタル時代の記憶は放っておけば消えてしまいます。だからこそ、Internet Archiveの取り組みが示すのは、“記録すること”そのものの価値であり、次世代に渡すための文化的営みなのです。

    ニュースソース:https://www.pcgamer.com/hardware/til-the-wayback-machine-saves-150-000-gigabytes-of-webpages-every-day-and-lives-in-a-church-in-san-francisco/

  • 古代インドの叡智で経営はどう変わる?IIMナグプルとSri Sri大学が挑む“文化×マネジメント”の新地平

    12月 2nd, 2025

    今朝の沼ニュース 2025-12-02

    インドの名門ビジネススクール Indian Institute of Management (IIM) Nagpur と、スピリチュアル教育にも強みを持つ Sri Sri University が、古代インドの知識体系(IKS)と現代マネジメントを融合する覚書(MoU)を締結しました。文化や精神性を“経営の中核”として扱う動きは、いま世界でも注目が高まっています。今回の協定はその最前線とも言える取り組みです。


    ■ 古代の知恵はビジネスに使えるのか?

    今回の協定の中心となるのは、Indian Knowledge Systems(IKS) と呼ばれる、ヨーガ哲学、アーユルヴェーダ、倫理思想、伝統的リーダーシップ観などを含む古代インドの知の体系です。
    IIMナグプルとSri Sri大学は、このIKSをケーススタディやエグゼクティブ教育に取り込み、現代企業の課題解決に応用することを目指します。

    つまり、「伝統文化=昔話」ではなく、現代の組織運営に使える“知の資源” として再評価しようというわけです。


    ■ 文化が“付加価値”から“中核資源”へ

    文化を経営に生かす議論はこれまでもありましたが、多くはブランディングや付加価値として語られてきました。
    今回のMoUがユニークなのは、文化やスピリチュアルな価値観を、組織開発やリーダー育成の中心に据える姿勢にあります。

    例えば、

    • 自己統御や心の安定に基づくリーダーシップ
    • 調和と継続性を重んじる組織文化の設計
    • 長期視点での企業ガバナンス
      といった領域で、IKSが示唆を与える可能性が指摘されています。

    ■ 学術と実務の“橋渡しモデル”としての意義

    IIMのようなビジネススクールが、文化・精神性を本格的に経営教育へ取り込むのは大きな動きです。これは、文化経営学(Cultural Management Studies)という新しい潮流にもつながります。

    いま世界では、グローバル競争やメンタルヘルス、持続可能なリーダーシップといった複雑な課題に向き合う中で、
    「数値化できない価値」をどう経営に位置づけるか
    という問いが重要になっています。

    今回の協定は、まさにその問いに対する実験でもあり、学術と教育実践の橋渡しとして注目されます。


    【まとめ】

    古代の叡智は、もはや「古い考え」ではなく、組織の新しい可能性を拓く資源になりつつあります。IIMナグプルとSri Sri大学の協働は、文化と経営を結びつける大きな一歩であり、今後のマネジメント教育の進化を占う上でも見逃せない動きと言えるでしょう。

    ニュースソース:https://timesofindia.indiatimes.com/city/nagpur/iim-nagpur-and-sri-sri-univ-to-blend-ancient-wisdom-with-modern-management/articleshow/123869920.cms

  • 紛争の影で消える文化をどう守る?

    12月 1st, 2025

    今朝の沼ニュース 2025-12-01

    スーダンでは続く戦闘によって博物館や遺跡が破壊・略奪され、多くの文化財が危機に瀕しています。そんな中、研究者や市民がオンラインでの「デジタル保存」に奔走していることをご存じでしょうか。失われゆく文化を記録しようとする人々の挑戦を追いました。


    ◆ 崩れゆく文化財、その現場で何が起きているのか

    戦闘が激化するスーダンでは、博物館や遺跡が砲撃による損壊や略奪の被害を受けています。展示品が持ち去られ、壁画が焼け落ち、守るべきスタッフさえ危険にさらされている状況です。
    文化財の喪失は単なる物の消失ではなく、地域の歴史・記憶・アイデンティティの消滅につながる重大な問題です。


    ◆ 急がれるデジタル保存:オンラインデータベースの構築

    こうした危機の中、スーダンの研究者たちは、現地にアクセスできない状況でも文化を守るために、オンラインでのデータベース構築をスタートさせました。
    博物館の所蔵品リスト、古代遺跡の写真、考古学的調査の記録など、あらゆる情報をデジタル化し、クラウド上に保存する取り組みが進められています。
    これは「失われる前に記録する」という最後の防衛線であり、文化資源学の観点からも非常に意義の大きい活動です。


    ◆ 国際協力の難しさと、進まない支援体制

    一方でこの取り組みには課題もあります。現地の安全保障の悪化により、研究者が自由に移動できず、データ収集は制限されがち。また、資金確保や国際機関との連携も十分には整わず、救えるはずの文化財が取り残されてしまうリスクが高まっています。
    それでも、現地の人々と研究者は「文化を守ることは未来を守ること」という信念のもと、できる限りの活動を続けています。


    ◆ まとめ

    スーダンでのデジタル文化財保全は、過酷な環境下でも未来に文化をつなぐ希望の取り組みです。
    物理的な文化財を救えない状況でも、「記録すること」そのものが重要な保全行為となり得ます。国際社会のさらなる支援が、この貴重な文化を次世代に残す鍵となるでしょう。

    ニュースソース:https://apnews.com/article/sudan-museums-artefacts-war-archaeology-shadia-abdrabo-fa3849af561dd96f0612e395e75b84d8

  • 沼妖精file:006 時巡りの織音

    11月 30th, 2025

    今週の沼妖精のささやき 2025-11-30

    時巡りの織音と、ほどけてまた結ばれる時間のはなし

    「わたしは、終わりの音をほどいて、はじまりの息に編みなおすの」
    ーー時回りの織音

    ■ 織音がそっと近づくとき

    七日ごとに霧散し、また同じ姿に集まり直す“時巡りの織音”は、まるで虹色の呼吸そのもの。背中の螺旋の光輪が、誕生と崩壊の瞬間を同時に映すというのだから、ちょっとだけ世界の裏側を覗かれている気がして落ち着かない。でも当の妖精は、ただ静かに微笑んで、どこかで終わりゆく命の最後のきらめきを拾い集めているだけらしい。

    ■ 終わりを怖がらないコツは、質量保存みたいなもの

    織音は、消えていくエネルギーをそっとすくい、新しい始まりへと紡ぎ替える。その仕草は、小川の流れが一度も止まらないのに、同じ水が二度と触れられないのと似ている。
    実際、私たちのまわりでもエネルギーは姿を変え続けて循環している。光は熱に、熱は風に、風は植物のそよぎに乗り移る。不可逆でありながら連続しているという世界の法則は、妖精の仕事ぶりを思うと少しだけ親しみやすく見えてくる。

    ■ 今日ためしてみる「行動のタネ」

    • 身の回りで“終わったもの”を一つ選び、そのかわりに“始めてみたいこと”を一つ決める。
      (使い切ったノート→新しいページの最初の言葉、など。)
    • 夜、部屋の灯りを落として、深呼吸しながら「今日は何が形を変えて続いているだろう」と静かに想像してみる。
  • 沼妖精file:005 蒼光燐廻

    11月 23rd, 2025

    今週の沼妖精のささやき 2025-11-23

    蒼光燐廻ー深度と響きの関係を知っている妖精の話

    「深いところほど音がよく響くの、心も同じでしょ?」
    ーー蒼光燐廻

    その言葉をつぶやいたのは、先日観測された「蒼光燐廻」という深海に棲む妖精でした。透明度の高い身体に、微小な星屑のような結晶を宿しています。
    彼らは光の届かない世界で、外界の喧騒とは無縁に静かに生きています。だからこそ、小さな振動や微かな音の変化に敏感で、その響き方で海の“気分”を読むのだそうです。

    深い海では、圧力や水温のおかげで音が遠くまで届き、時には数百キロ先まで旅をすると言われます。妖精はその物理法則を体で知っていて、人間にそっと当てはめてみせるのです。心の奥のほうに沈めた気持ちは、むしろ軽い気持ちよりゆっくり響き続ける。それは悪いことではなく、自分の内側に深さがある証だと、妖精はクスッと笑います。

    小さな学び:深さは欠点じゃなくて、音の器

    人間も、心の底に沈んだ気持ちほど、自分の行動や判断に長く影響します。それは未処理の重荷ではなく、“響きの余韻”なのかもしれません。深海で光が自ら発されるように、人も深いところに触れたときこそ、自分だけの小さな光を見つけることがあります。

    行動のタネ

    今日、ほんの5分でできる深さの実験。

    • 静かな場所に行って、胸の奥で一番響いている感情にひとつだけ名前をつけてみる
    • その感情に「今そこにいていいよ」と、心の中で小声の許可を出してみる
    • 呼吸を一回深く吸い込んで、海底のようにゆっくり吐いてみる

    すると不思議と、音が遠くまで届くような感覚が生まれます。

  • 人文学から迫る環境危機──UCSCが示す新しい視点

    11月 20th, 2025

    今朝の沼ニュース 2025-11-20

    UCSCが提案する「環境人文学」という考え方

    University of California, Santa Cruz(UCSC)が公開したニュース記事「Humanistic approaches to urgent environmental issues」(参照リンク)では、急速に深刻化する環境問題を、人文学の立場からとらえ直す試みが紹介されていました。そこで語られていたのは、自然を単なる資源や背景として扱うのではなく、人間と相互に関わる存在として理解しようとする姿勢です。

    UCSCでは、生物学や気候科学といった自然科学に加えて、文学、倫理、法律、文化史、公共史の知見を横断的に結び合わせています。さらに、地域住民や先住民コミュニティが持つ経験や知識、そしてアートや展示活動まで視野に入れることで、気候変動、生態系の破壊、社会的脆弱性が複雑に絡み合う「ポリクライシス」により深く向き合おうとしているのです。

    自然環境をデータだけでなく「語られる物語」として読む視点を持ったことはありますか?

    アートが語りなおす環境の変化

    記事では、UCSCの教員たちがアート作品や展示を通して、環境変動がわたしたちにもたらす物語の変化を探ろうとしている姿が描かれています。生きものと人のつながり、時間と場所の文化的な意味づけ、そして変わりゆく景観が突きつける倫理的な問いかけなど、科学データでは捉えきれない“環境の経験値”を浮かび上がらせようとしているのです。

    その営みはエコクリティシズムや気候人文学、公共史学と深くつながっており、自然環境の変動を文化的な側面から理解する新たな視座を与えてくれます。

    湿地・沼地からはじめる「環境×文化資源」のフィールドワーク

    ここからは、記事をきっかけに考えたアイデアを紹介してみます。

    たとえば、ある湿地や沼地──マングローブ、河畔地域、都市縁辺の転用湿地など──をフィールドに選び、そこで暮らす人びと、動植物、水系が育んできた時間的・文化的記憶を、市民科学とデジタルアーカイブの力を借りて可視化する試みはどうでしょうか。現地での聞き取り、映像や音声の記録、GISによる地図化、住民によるワークショップを重ねることで、「湿地と人が共有してきた時間」を語るアーカイブが形づくられていきます。

    こうした営みは、文化資源学と環境人文学が出会う新しい研究モデルとして、十分に発展の余地があるように感じます。

    地域政策やサービスとしての応用可能性

    ビジネスの観点から見ても、このアプローチには応用の可能性があります。環境と人文学を組み合わせたプロジェクトを、自治体、環境NPO、博物館と協働しながらサービス化する構想です。地域の環境文化資源を調査・整理し、デジタルアーカイブとしてまとめ、市民参加型のワークショップで共有の場をつくる。こうした一連の流れをパッケージ化することで、湿地保全や気候レジリエンス政策に役立つ「文化的価値の可視化」を支援できるのではないでしょうか。

    身近な地域で、自然環境を文化的な記憶の層としてとらえなおす視点が、何か新しい気づきをもたらしてくれるかもしれません。

  • 博物館が直面する「洗練されたデジタル体験」との競争

    11月 19th, 2025

    今朝の沼ニュース 2025-11-19

    英国で実施されたレポート「Curating Connection: Transforming Visitor Engagement in the Cultural Sector」(2023)によると、文化施設が提供する体験と、来館者が期待する水準との間に、これまで以上に大きなギャップが生まれています。

    調査は2,000人の(英国の成人)文化施設訪問者と300人の文化機関リーダーを対象に行われ、来館者の関心が「展示を見る」から「体験を積極的に味わう」へと明確に変わっていることが示されました。特に、AR/VRを使った没入型演出やオンライン連動型のストーリー体験など、洗練されたデジタル体験の普及が、従来型の博物館・ギャラリーにとって競争要因になっている点が注目されます。

    こうした背景を踏まえ、Museums Association が公開した記事
    “Museums face growing competition from ‘slick’ digital experiences” でも、デジタル体験市場の急速な拡大が強調されています。

    デジタルを受け入れにくい3つの内部バリア

    レポートでは、組織側の課題として以下の3点が明確に整理されています。

    • リソース不足:機材投資や専門スタッフ確保が難しい
    • スキル不足:デジタル演出を設計・実装できる人材が少ない
    • 文化的抵抗:展示手法の変化への心理的・組織的ハードル

    これらが組み合わさることで、「デジタル体験を拡張したいが、動けない」という構造が生まれていると指摘されます。

    体験の中心は「来館者の物語」

    レポート作成者は、文化施設の未来像を次のように示します。

    “モノを見せる場”から“体験をデザインする場”へ転換する必要がある。

    つまり、展示そのものよりも、「来館者がどのように関わり、自分の物語として持ち帰るか」が重視されつつあります。デジタルはそのための手段にすぎませんが、双方向性・パーソナライズ・継続的関与といった要素を満たす有力な方法であることは確かです。

    今日のアイデア:ローカル文化資源×ARで「来館後も続く展示」をつくる?

    例えば、地域博物館でローカル文化資源を素材に、来館者が自分のスマホで過去/未来の風景をARで重ねて見る体験を、市民や学生と協働でデザインしてみるのはどうでしょう。
    さらに、来館後もオンラインで物語が続く仕掛けを用意すれば、展示鑑賞が“終わり”ではなく“始まり”になります。こうした流れが、「展示→物語→参与」という新しい文化資源学的アプローチにつながります。

    今日のビジネスTips

    文化施設向けに、来館者体験をデジタルとリアルの両面で設計・実装する「体験デザイン・パッケージ」を提供するサービスには伸びしろがあります。AR/VR、スマホアプリ、来館後フォローコンテンツまでを一括で支援できれば、施設のリピート率向上にも寄与しやすく、文化経営の新たな収益源にもつながるでしょう。

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