今朝の沼ニュース 2025-12-03
インターネットの歴史を丸ごと保管する巨大プロジェクト「Internet Archive」のWayback Machineが、なんとウェブページ1兆件のアーカイブを達成しました。1日あたり150テラバイトものデータを飲み込み続けるこの仕組みは、なぜここまで必要とされるのでしょうか。節目のニュースから、デジタル時代の“記憶のあり方”を改めて見つめます。
■ 1兆ページ達成という、桁違いの節目
アメリカ・サンフランシスコの教会に本拠地を構えるInternet Archive。その中核サービスであるWayback Machineは、過去のウェブページを誰でも遡って閲覧できる「時の図書館」です。
2025年10月22日、ついに保存数が1兆ページに到達。これはインターネット誕生以来の膨大な記録が積み上がった証であり、デジタル文化史における大きな里程標です。
毎日150テラバイト(=150,000ギガバイト)が追加されるペースは、単体の企業や研究機関では追いつけない規模。世界のウェブの“消失リスク”を背景に、その役割はますます重くなっています。
■ 情報が「すぐ消える」時代だからこそ価値がある
SNS投稿が瞬時に消され、サイトが数日で閉鎖され、ニュース記事が書き換えられる。いま私たちが接するウェブは、驚くほど変化しやすく、消えやすい媒体です。
だからこそ、Wayback Machineは「失われたかもしれない情報への保険」として機能しています。
- 公共の議論の透明性を保つ
- 研究者が過去の情報環境を再現できる
- 企業・政府の発信履歴を確認できる
- ウェブ文化そのものを歴史的資源として守る
これらは図書館や博物館が果たしてきた役割に近く、ウェブ時代の新しい公共インフラといっても過言ではありません。
■ 膨張するアーカイブの裏側にある課題
しかし、1兆ページアーカイブという偉業の裏には、いくつもの難題が横たわっています。
- 法的ハードル:著作権や削除依頼とのバランス
- 技術的制約:ストレージ・運用コストの増大
- 検索性の問題:膨大すぎて目的のページに辿り着けない
- 持続可能性:非営利で続けるための資金確保
特に、データ量の増大と長期保存のコストは年々圧迫を増しています。アーカイブの重要性が高まる一方、その維持には社会全体で支える仕組みが求められています。
まとめ
Wayback Machineの1兆ページ到達は、単なる数字の記録以上に、「私たちは何を未来に残すのか」という問いを投げかけています。
デジタル時代の記憶は放っておけば消えてしまいます。だからこそ、Internet Archiveの取り組みが示すのは、“記録すること”そのものの価値であり、次世代に渡すための文化的営みなのです。