今朝の沼ニュース 2025-12-01
スーダンでは続く戦闘によって博物館や遺跡が破壊・略奪され、多くの文化財が危機に瀕しています。そんな中、研究者や市民がオンラインでの「デジタル保存」に奔走していることをご存じでしょうか。失われゆく文化を記録しようとする人々の挑戦を追いました。
◆ 崩れゆく文化財、その現場で何が起きているのか
戦闘が激化するスーダンでは、博物館や遺跡が砲撃による損壊や略奪の被害を受けています。展示品が持ち去られ、壁画が焼け落ち、守るべきスタッフさえ危険にさらされている状況です。
文化財の喪失は単なる物の消失ではなく、地域の歴史・記憶・アイデンティティの消滅につながる重大な問題です。
◆ 急がれるデジタル保存:オンラインデータベースの構築
こうした危機の中、スーダンの研究者たちは、現地にアクセスできない状況でも文化を守るために、オンラインでのデータベース構築をスタートさせました。
博物館の所蔵品リスト、古代遺跡の写真、考古学的調査の記録など、あらゆる情報をデジタル化し、クラウド上に保存する取り組みが進められています。
これは「失われる前に記録する」という最後の防衛線であり、文化資源学の観点からも非常に意義の大きい活動です。
◆ 国際協力の難しさと、進まない支援体制
一方でこの取り組みには課題もあります。現地の安全保障の悪化により、研究者が自由に移動できず、データ収集は制限されがち。また、資金確保や国際機関との連携も十分には整わず、救えるはずの文化財が取り残されてしまうリスクが高まっています。
それでも、現地の人々と研究者は「文化を守ることは未来を守ること」という信念のもと、できる限りの活動を続けています。
◆ まとめ
スーダンでのデジタル文化財保全は、過酷な環境下でも未来に文化をつなぐ希望の取り組みです。
物理的な文化財を救えない状況でも、「記録すること」そのものが重要な保全行為となり得ます。国際社会のさらなる支援が、この貴重な文化を次世代に残す鍵となるでしょう。