今朝の沼ニュース 2025-11-18
はじめに
米バージニア州バージニアビーチの保護区Pleasure House Pointで、市が湿地造成を目的に5,200本超の木を伐採した件で、住民4人が米陸軍工兵隊ノーフォーク支区を連邦裁判所に提訴しました。参照した記事はこちら → バージニアビーチ住民、干潟造成で森林伐採した米陸軍工兵隊を提訴
この訴訟は、湿地回復と炭素削減をどう両立させるかという重要なテーマを含んでいます。
事業の背景と住民の主張
市が進めたのは、総額1,200万ドルで湿地代替クレジットを確保するプロジェクトです。訴状では、この造成行為が以下を損なったとされています。
- 渡り鳥の営巣環境
- ダイヤモンドガメの生息地
- 地域のカキ礁
- 保護区の公共利用価値
住民側は、伐採によって地域の自然が一度に大きな損失を受けたとし、再植樹と原状回復を求めています。湿地回復と森林保全のどちらを優先すべきでしょうか?
行政側の説明
バージニアビーチ市は、高潮対策インフラに必要なクレジット取得が目的だと説明しています。干潟や潮間帯湿地が完成すれば、
- 水質浄化
- 洪水緩和
- 生態系の回復
に長期的に寄与するという立場です。米陸軍工兵隊も「環境に純増効果がある」として訴えの棄却を求めています。
文化的景観の視点
今回の争点は、地元の自然資源をどう評価し、どう“記憶”し、どう未来につなぐかという点にもあります。
森林伐採によって失われた文化的景観は、単なる生態資源ではなく、地域が長年育んできた「共有資源」です。
その意味で、環境保全における意思決定プロセスの透明性は欠かせません。
ドローン×市民科学で開く新しい監視モデルの提案
伐採を伴う湿地造成の生物多様性と炭素収支を、市民科学アプリとドローンLiDAR測量で随時モニタリングする仕組みをオープンデータ化すれば、
- 自治体の判断の透明性
- 市民の参加
- 長期的な環境アーカイブ
が同時に実現できます。こうした環境監視システムは、今後の地域政策に大きな可能性を持つと感じています。
ビジネスの視点
湿地代替クレジット市場は今後拡大が見込まれています。その中で、
「低インパクト湿地設計」コンサルティング
は、森林伐採などのリスクを抑えつつブルーカーボン創出量を可視化できる新サービスとして、自治体向けに相性が良いでしょう。
多くの地域でニーズが生まれると思います。
おわりに
この訴訟の行方は、湿地保全・気候変動対策・地域の文化的資源の扱いに関するモデルケースになり得ます。今後の動きを丁寧に追っていきたいと思います。