今朝の沼ニュース 2025-12-02
インドの名門ビジネススクール Indian Institute of Management (IIM) Nagpur と、スピリチュアル教育にも強みを持つ Sri Sri University が、古代インドの知識体系(IKS)と現代マネジメントを融合する覚書(MoU)を締結しました。文化や精神性を“経営の中核”として扱う動きは、いま世界でも注目が高まっています。今回の協定はその最前線とも言える取り組みです。
■ 古代の知恵はビジネスに使えるのか?
今回の協定の中心となるのは、Indian Knowledge Systems(IKS) と呼ばれる、ヨーガ哲学、アーユルヴェーダ、倫理思想、伝統的リーダーシップ観などを含む古代インドの知の体系です。
IIMナグプルとSri Sri大学は、このIKSをケーススタディやエグゼクティブ教育に取り込み、現代企業の課題解決に応用することを目指します。
つまり、「伝統文化=昔話」ではなく、現代の組織運営に使える“知の資源” として再評価しようというわけです。
■ 文化が“付加価値”から“中核資源”へ
文化を経営に生かす議論はこれまでもありましたが、多くはブランディングや付加価値として語られてきました。
今回のMoUがユニークなのは、文化やスピリチュアルな価値観を、組織開発やリーダー育成の中心に据える姿勢にあります。
例えば、
- 自己統御や心の安定に基づくリーダーシップ
- 調和と継続性を重んじる組織文化の設計
- 長期視点での企業ガバナンス
といった領域で、IKSが示唆を与える可能性が指摘されています。
■ 学術と実務の“橋渡しモデル”としての意義
IIMのようなビジネススクールが、文化・精神性を本格的に経営教育へ取り込むのは大きな動きです。これは、文化経営学(Cultural Management Studies)という新しい潮流にもつながります。
いま世界では、グローバル競争やメンタルヘルス、持続可能なリーダーシップといった複雑な課題に向き合う中で、
「数値化できない価値」をどう経営に位置づけるか
という問いが重要になっています。
今回の協定は、まさにその問いに対する実験でもあり、学術と教育実践の橋渡しとして注目されます。
【まとめ】
古代の叡智は、もはや「古い考え」ではなく、組織の新しい可能性を拓く資源になりつつあります。IIMナグプルとSri Sri大学の協働は、文化と経営を結びつける大きな一歩であり、今後のマネジメント教育の進化を占う上でも見逃せない動きと言えるでしょう。