群馬県が挑む「白昼のナイトミュージアム」という新しい文化体験
今朝の沼ニュース 2025-12-17
美術館や博物館の収蔵品は、建物の中で静かに展示されるもの――そんな常識を覆す取り組みが、群馬県で始まります。県立美術館・博物館の収蔵品をデジタルアーカイブ化し、MR(複合現実)技術を使って館外で体験できるデジタル展示として公開するというのです。その名も「白昼のナイトミュージアム」。文化財活用の新しい形として注目されています。
収蔵品が館外へ飛び出すデジタル展示
群馬県は、県立美術館・博物館の収蔵品をデジタルアーカイブ化し、2025年12月6日から2026年2月1日まで、県内各地を巡回するデジタル展示を実施すると発表しました。
これまで収蔵庫や展示室の中にあった作品や資料が、デジタル技術によって場所の制約を超え、地域のさまざまな場所で鑑賞できるようになります。
MRで体験する「夜の博物館」
今回の展示の大きな特徴は、MR(Mixed Reality)ゴーグルを活用した体験型演出です。
来場者はゴーグルを装着し、昼間の会場にいながら、まるで「夜の博物館」を歩いているかのような感覚で展示を楽しめます。単にデジタル画像を見るのではなく、空間演出と没入感を組み合わせた鑑賞体験が用意されている点が魅力です。
「保存」から「活用」へ進むデジタルアーカイブ
この取り組みは、地方自治体や博物館における「デジタルアーカイブ+体験型技術」の好例といえます。
従来、デジタルアーカイブは保存や記録が主な目的でしたが、群馬県の事例では、展示や地域での活用へと踏み込んでいる点が特徴です。文化資源を「守る」だけでなく、「どう使い、どう伝えるか」という発想への転換が感じられます。
まとめ
群馬県の「白昼のナイトミュージアム」は、デジタル技術によって博物館の役割を広げる試みです。文化財を保存しながら、新しい体験として地域に開くこのアプローチは、今後の博物館運営や文化政策のヒントになるでしょう。デジタル時代のミュージアムの姿が、ここから見えてきそうです。