カリフォルニア州の大麻栽培が先住民族文化資源に与える影響
今朝の沼ニュース 2025-12-15
米国カリフォルニア州では、大麻の合法化が進み、新たな産業として注目を集めています。しかしその一方で、合法的な大麻栽培や規制プロセスが、先住民族(Tribal)の文化資源を脅かしているという研究報告が発表されました。環境や経済だけでなく、文化の視点からも議論が必要な問題として注目されています。
大麻栽培の拡大がもたらす土地利用の変化
University of California, Berkeley と Northeastern University の研究チームによると、大麻栽培エリアの急速な拡大や土地利用転換が、先住民族にとって重要な文化的景観や歴史的空間に影響を及ぼしているといいます。
これらの土地には、考古学的遺構や儀礼に関わる場所が含まれることも多く、開発行為そのものが文化的価値を不可逆的に損なうリスクをはらんでいます。
規制はあるのに守られない文化資源
カリフォルニア州では大麻栽培に関する規制制度が整備されていますが、Farm Progress などの指摘によれば、その枠組みが先住民族の文化資源保護と十分に整合していないのが現状です。
形式的な環境審査は行われても、文化的・精神的価値まで踏み込んだ評価が行われないケースもあり、「合法であれば問題ない」という認識が危ういことが浮き彫りになっています。
文化資源学が直面する新たな課題
この事例は、文化資源学が従来扱ってきた「遺跡やモニュメントの保存」だけでなく、現代の土地利用、政策、産業活動との関係性をどう捉えるかという新たな課題を示しています。
合法産業であっても、文化への影響を慎重に評価し、先住民族との対話を重ねることが不可欠です。
まとめ
カリフォルニア州の大麻栽培問題は、合法化=安心ではないことを教えてくれます。経済的利益や規制の整備だけでなく、先住民族の文化資源をいかに守るかという視点が、これからの政策や研究には欠かせません。文化と開発のバランスをどう取るのか、私たちに問いかける事例といえるでしょう。